真夏になると、車のエアコンはフル稼働。高速道路や渋滞に巻き込まれれば、車内外の気温は想像以上に上昇します。
そんな中で気をつけたいのが「車への負担」です。車は機械である以上、暑さによってさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
この記事では、夏のドライブ中やレジャーシーンで起こりやすい車の不具合と、その対策方法をわかりやすく解説します。

猛暑のドライブは車にとっても過酷!
たとえば、外気温が35℃を超える日。アスファルトの路面温度は60℃以上になることもあります。
そんな灼熱の中を走る車は、ボンネットの中が100℃近くに達することもあり、エンジンや電装部品にとっては「サウナ状態」。
冷却が追いつかず、最悪の場合は走行中に突然止まってしまうようなトラブルに発展することもあるのです。
特に長距離ドライブや渋滞にハマりがちな都市部、またアウトドアや帰省ラッシュなどでは、夏のリスクが顕著に現れます。
まずは、具体的な不具合の例と予防方法を見ていきましょう。

エンジントラブル:冷却水とオーバーヒートに要注意
夏場に最も多いトラブルの一つが、エンジンのオーバーヒートです。
特に渋滞中や長時間のアイドリングでは、エンジンの発熱に対して冷却が間に合わず、温度が急上昇してしまいます。
本来、エンジンは「冷却水(クーラント)」を循環させて温度を一定に保つ仕組みですが、冷却水が不足していたり、劣化しているとその効果が大きく低下します。
また、冷却水を通すラジエーターやホースに汚れや詰まりがあると、スムーズな循環ができず、これもオーバーヒートの原因に。
最悪の場合、走行中に「水温警告灯」が点灯し、すぐに停車しないとエンジン内部が焼き付いてしまう危険もあります。
オーバーヒートの予防には、定期的な冷却水の補充・交換が欠かせません。
さらに、真夏に長距離ドライブを計画している方は、出発前にラジエーター周りやエンジンルームの点検を行っておくと安心です。
車検のタイミング以外でも、日常的にボンネットを開けて簡単なチェックを習慣化しておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。

バッテリーの寿命が縮む?夏特有の電装系トラブル
「バッテリー上がり=冬のトラブル」と思われがちですが、実は夏にもバッテリーへのダメージは多く発生しています。
高温によってバッテリー内部の電解液が蒸発しやすくなり、電圧が不安定になったり性能が急激に低下してしまうことがあるのです。
エンジン始動時に「キュルキュル」と音が長くなったり、ライトが暗く感じたりしたら、それはバッテリー劣化のサインかもしれません。
特にエアコンの長時間使用や電装品(ドライブレコーダー・スマホ充電・カーナビ)を多用している方は、知らず知らずのうちにバッテリーに大きな負荷をかけています。
「まだ使えそう」と思っていても、暑さの中で突然エンジンがかからなくなるリスクを考えると、早めの点検・交換が賢明です。
いざという時に備えて、ブースターケーブルやポータブルジャンプスターターなどの緊急グッズを常備しておくと安心です。
また、バッテリーの交換目安はおおよそ「2〜3年」。走行距離が短くても劣化は進むため、夏前に点検するのが理想です。
タイヤ破裂・パンク:熱膨張でリスク倍増
猛暑の中で意外と見落とされがちなのが「タイヤの空気圧と破裂リスク」です。
夏場のアスファルトは60℃を超えることもあり、走行中のタイヤ内部は高温+高圧状態にさらされます。
その結果、空気が熱で膨張しすぎて内部圧力が限界を超えると、「バースト(破裂)」を引き起こす恐れがあります。
とくに長距離移動や高速道路ではタイヤの温度が急激に上がるため、空気圧を高めに設定していると危険度が上がります。
さらに、タイヤに小さなヒビや劣化があると、その弱点から一気に裂けてしまうケースも。
予防のためには、こまめな空気圧チェックと、溝の深さ・ひび割れの確認が欠かせません。
特に夏前に点検することで、家族旅行やキャンプなどの長距離移動も安心して楽しむことができます。
「ちょっとくらい大丈夫」と油断せず、定期的なタイヤチェックを習慣にしておきましょう。

長時間の運転とエアコン使用はエンジンにも負担
夏のドライブで欠かせないのが「エアコン」。しかしその快適さの裏で、実はエンジンにはかなりの負荷がかかっています。
特に渋滞中やアイドリング状態が続くと、エアコンコンプレッサーの稼働によりエンジンの冷却が追いつかず、熱がどんどんこもってしまいます。
それに加え、外気温が高いとラジエーターやファンの効率も下がるため、より一層オーバーヒートしやすい環境に。
とくに年式が古く、メンテナンスの間隔が空いている車両は要注意です。
以下のようなシーンでは、エンジンへの負担が大きくなります。
- 真夏の渋滞で30分以上アイドリング
- エアコンMAX稼働で坂道・山道を走行
- キャンプ場などでエンジンかけっぱなしの車中泊
こうした状況では、定期的にエアコンのフィルター清掃や冷却系統の点検を行うことで、トラブルを未然に防げます。
無理な使用を避けつつ、ドライバー側でも意識して「クールダウン走行」や「適度な休憩」を取り入れることが、愛車の健康を保つ秘訣です。

車中泊・キャンプでも注意したい熱中症と車へのダメージ
夏といえばキャンプやレジャーの季節。最近では「車中泊」で手軽にアウトドアを楽しむ方も増えています。
しかし、真夏の車内は日中であれば60℃以上になることもあり、人にも車にも非常に過酷な環境です。
たとえば、窓を閉め切った車内でうたた寝をすると、わずか10〜15分で熱中症のリスクが高まります。
また、エンジンをかけっぱなしにすることで冷房は確保できますが、その分燃料の消費が増えるうえ、
エンジンに過度な負荷がかかり続けることになります。さらに、狭い場所では排気ガスによる一酸化炭素中毒の危険性も。
安全かつ快適に過ごすためには、以下のような工夫や装備が有効です。
- 日陰に駐車し、車体への熱吸収を抑える
- ブラインドシェードやサンシェードで直射日光をカット
- 換気ファンやポータブル電源を活用して空気を循環
- → 夏でも快適に過ごせる車中泊スタイル
また、車内での過ごし方だけでなく、車へのダメージを減らすという視点も大切です。
日差しを浴び続けたダッシュボードやタイヤなどは劣化が進みやすいため、カバーや定期的なメンテナンスも意識しましょう。

もしかしたら故障のサインかも?チェックポイント
普段とちょっと違う…そんな違和感は、重大なトラブルの前触れかもしれません。
以下のような症状が出ていないか、出発前や運転中にチェックしてみましょう。
- エアコンの効きが急に悪くなった(冷風が弱い・臭いがする)
- エンジン始動時にキュルキュル音が鳴る、かかりにくい
- アイドリング中の振動や音がいつもより大きい
- 車内に焦げたようなニオイがする
- タイヤの空気圧がいつの間にか減っている
- 走行中にエンジン警告灯が一瞬でも点灯した
こうした「小さな違和感」こそ、早期トラブル発見のチャンスです。
迷ったら、遠出前に整備工場で点検してもらうのがベスト。後悔しない夏のドライブのために、少しの異変も見逃さないようにしましょう。
万が一の故障に備えるには?ロードサービスと備えを再確認
どれだけ予防をしていても、車は機械。夏場の厳しい環境では、突発的な故障が発生する可能性をゼロにはできません。
そんなときに頼りになるのが、JAFや自動車保険に付帯されている「ロードサービス」です。
保険のロードサービスは「事故のみ対象」「無料距離に制限あり」など条件がある場合が多いため、
JAFのように年中無休24時間体制で対応してくれるロードサービスを併用しておくと安心です。
JAFは全国ネット年中無休24時間体制でカーライフをサポート!
また、いざという時の備えとして「最低限の緊急グッズ」を積んでおくことも重要です。
- ブースターケーブル
- 携帯用冷却スプレー・タオル
- 応急修理キット
- 懐中電灯・発煙筒
- → 車に備えておきたい緊急グッズ一覧
特に夏は、出先でのトラブルが「命に関わる問題」になることもあります。
ドライブやレジャーを安全に楽しむためにも、“備え”は万全にしておきましょう。

まとめ|夏のドライブは“備え”と“意識”で快適・安全に
夏の暑さは、ドライバーだけでなく車にとっても大きなストレス要因となります。
冷却系統のトラブル、バッテリーの劣化、タイヤのバーストなど、見えないところで進行するリスクは想像以上に多いものです。
この記事でご紹介した各ポイントを意識し、事前のメンテナンスや装備の確認を行うことで、
長距離移動やアウトドアでも安心してドライブを楽しむことができます。
また、車中泊やキャンプをされる方は、快適性だけでなく「安全性」にも目を向けることで、より充実した夏の旅が実現します。
“暑さをなめるな”。その一言を胸に、しっかりとした準備でこの夏を乗り切っていきましょう!
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