ガソリンスタンドに行くと「レギュラー」「ハイオク」「軽油」と3種類の燃料が並んでいます。しかし実際にその違いをきちんと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
価格差があるのはなぜ? 軽油は名前に「油」と付くけれどガソリン車に入れても大丈夫なの? ハイオクは高いけれど本当に必要? と給油のたびに迷ってしまう方も多いはずです。
本記事では、軽油・レギュラー・ハイオクの違いと特徴、さらには価格や燃費、誤給油のリスクまでわかりやすく解説します。初心者の方でも読み終えたあとには自信を持って給油できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

ガソリンの種類と基本知識

日本のガソリンスタンドで取り扱われている主な燃料は「軽油」「レギュラー」「ハイオク」の3種類です。それぞれ名前は有名でも、実際にどう違うのかを正確に理解している方は少なくありません。
ここではまず、3種類の燃料の基本的な位置づけを整理しておきましょう。
- 軽油:ディーゼルエンジン専用の燃料。価格が安く、燃費やトルクに優れるが、ガソリン車には使用不可。
- レギュラー:日本で最も一般的なガソリン。オクタン価90以上で、ほとんどの国産車に対応。
- ハイオク:高性能エンジン向けのガソリン。オクタン価96以上で、輸入車やスポーツカーなどに多い。

軽油とは?ディーゼル車専用の燃料

軽油はその名のとおり「油」という字が入っているため、ガソリンよりも重たい燃料と思われがちですが、実際にはディーゼルエンジン専用に設計された燃料です。
- ガソリンのように点火プラグを使わず、シリンダー内の高圧縮による熱で自然発火する仕組み
- トルク(低回転での力強さ)が大きく、重い車でもスムーズに走行できる
- 燃焼効率が良く、燃費性能にも優れている
軽油はガソリンよりも価格が安いのが大きな魅力です。これは燃料自体の製造コストというよりも、税金の仕組みによるものです。
日本では軽油引取税が適用されますが、ガソリン税に比べて負担が軽いため、結果的に1リットルあたり10〜20円ほど安く販売されることが多くなっています。
もし誤って給油してしまうと、エンジンがかからなかったり、内部を傷めて修理が必要になるケースがあります。修理費用は数万円から十数万円になることもあり、決して軽く見てはいけません。
給油口のキャップや車検証に記載されている燃料種類を必ず確認し、間違えないようにしましょう。

レギュラーガソリンとは?最も一般的な燃料

レギュラーガソリンは、日本で最も広く普及している燃料で、街中を走る多くの普通車に採用されています。
- 日本ではオクタン価90以上が基準とされている
- 多くの国産車がレギュラー仕様で設計されている
- 価格が安く、全国どのガソリンスタンドでも安定して入手できる
レギュラーガソリンは、日本の自動車市場に合わせて多くのメーカーが標準燃料として設計しているため、対応車種が非常に多いのが特徴です。
コンパクトカーからファミリーカーまで幅広く採用されており、維持費を抑えたいユーザーにとっても最適な選択肢といえます。
レギュラー仕様の車にハイオクを入れても走行自体に問題はありませんが、燃費やパワーが大きく向上することはほとんどありません。
逆に、ハイオク指定車にレギュラーを入れるとノッキング(異常燃焼)が起きやすくなり、エンジン性能の低下や故障につながる恐れがあります。
必ず車の取扱説明書や給油口のラベルで指定を確認することが大切です。
ハイオクガソリンとは?高性能エンジン向けの燃料

ハイオクガソリンは、主にスポーツカーや輸入車など、高圧縮比のエンジンを搭載した車に指定される燃料です。
- 日本ではオクタン価96以上が基準
- ノッキング(異常燃焼)を防ぎ、エンジンをスムーズに動作させる
- 高性能車や輸入車、スポーツモデルで指定されることが多い
オクタン価とは「ガソリンがノッキングを起こしにくい度合い」を示す数値です。
ノッキングとは燃料が異常に早く爆発してしまう現象で、エンジンに負担を与え、性能低下や故障の原因となります。オクタン価が高いほど安定した燃焼が可能になり、特に高出力のエンジンには欠かせません。
ハイオク仕様の車にレギュラーを入れると、ノッキングが起きやすくなり、パワー不足やエンジン不調を招く恐れがあります。
逆に、レギュラー仕様の車にハイオクを入れても大きな効果は得られないため、基本的には指定された燃料を守るのが最も安心です。

価格・燃費・維持費の違い

燃料の違いはエンジン性能だけでなく、日常のランニングコストにも直結します。ここでは価格・燃費・維持費の観点から3種類の燃料を比較してみましょう。
価格の目安
- 軽油:1リットルあたりレギュラーより10〜20円ほど安い
- レギュラー:基準となる一般的な価格
- ハイオク:レギュラーより10円前後高いことが多い
この差は1回の給油では数百円程度ですが、年間で計算すると数千円〜数万円の違いになります。
燃費性能
- 軽油:ディーゼルエンジンは低回転で効率良く走れるため、燃費に優れる
- レギュラー:車種によって差はあるが、バランスの取れた燃費性能
- ハイオク:必ずしも燃費が良いわけではなく、高性能エンジンで本来の力を発揮することに意味がある
維持費への影響
軽油は燃料価格が安いことに加え、燃費効率も良いため、長距離運転が多い人にとって維持費を大きく抑えられます。
ただし、自動車税や車両価格の違いも考慮する必要があります。ハイオク車は燃料代が高くつきますが、性能や乗り心地を重視するユーザーには必要不可欠な選択肢です。

誤給油のリスクと対処法

燃料の種類を間違えて給油してしまう「誤給油」は、エンジントラブルの大きな原因になります。見た目は似ていても中身はまったく異なるため、間違えると高額な修理費用につながることもあります。
ガソリン車に軽油を入れた場合
最も多いトラブルがこれです。エンジンがかからなかったり、走行中に止まってしまうことがあります。
ハイオク指定車にレギュラーを入れた場合
長期間続けるとエンジンに悪影響を及ぼす可能性があるため、指定されたハイオクを使用することが重要です。
レギュラー車にハイオクを入れた場合
この場合は基本的に問題ありません。ただし、燃費やパワーが劇的に良くなるわけではないため、コスト面を考えるとメリットは少ないといえます。
誤給油してしまったときの対処法
- エンジンをかけずにすぐにスタンドのスタッフへ相談する
- ロードサービスやディーラーに連絡して正しく処置してもらう
- 無理に走行すると故障が悪化するため、絶対に動かさない
海外との違いにも注意しよう

日本ではレギュラーがオクタン価90以上、ハイオクが96以上と定められていますが、海外では測定方法や呼び方が異なるため、同じ「レギュラー」「ハイオク」という表記でも中身が異なる場合があります。
- アメリカ:オクタン価の基準が「(R+M)/2方式」で、日本の数値より低めに表示される
- ヨーロッパ:日本と同じ「RON方式」を採用しているため数値が近い
- 一部の国:レギュラー=95、ハイオク=98など、日本よりも高めの基準が一般的
欧州車や高性能輸入車は、母国の基準に合わせて設計されていることが多いため、日本国内でもハイオクを指定しているケースが目立ちます。旅行や海外赴任で給油する際も、現地の基準をよく確認しなければなりません。
「レギュラー」「ハイオク」という呼び名は世界共通ではないため、海外で車を利用する場合や輸入車に乗る場合は、オクタン価の数値を基準に燃料を選ぶのが確実です。

よくある疑問Q&A

まとめ:指定された燃料を守ることが一番の安心

ガソリンスタンドに並ぶ「軽油・レギュラー・ハイオク」は、見た目は似ていても役割や使える車種が大きく異なります。選び方を間違えると、エンジン性能の低下や故障につながり、高額な修理費用が発生することもあります。
- 軽油:ディーゼル車専用で、価格が安く燃費効率も高い。ただしガソリン車には使用不可。
- レギュラー:最も一般的な燃料で、国産車の多くが対応。オクタン価は90以上。
- ハイオク:高性能エンジン向けで、オクタン価96以上。ノッキングを防ぎ、性能を引き出す。
結論としては「車の取扱説明書や給油口に書かれている指定燃料を守ること」が最も重要です。無理に高い燃料を入れる必要もなければ、安いからと間違った燃料を入れることも禁物です。正しい知識を身につけておけば、安心してドライブを楽しむことができます。
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