「暫定税率が廃止されたら、ガソリンは安くなる?」
物価高が続く今、ニュースやSNSなどで「暫定税率廃止」という言葉を耳にすることが増えてきました。
特に私たちの生活に密接に関わるのが、ガソリンや軽油にかかる税金。日常的にクルマを使う人にとって、燃料代の上昇は家計へのダメージも大きく、もし暫定税率が本当に廃止されれば、どれほどの影響があるのか気になるところです。
本記事では、そもそも暫定税率とは何なのか、廃止されるとガソリン価格はどの程度下がるのか、さらには電力や物流、家計への影響までをわかりやすく解説します。
シエンタなどを日常使いしているご家庭や、地方での生活に直結する話題ですので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

そもそも暫定税率って何?
「暫定税率」とは、特定の税金に一時的に上乗せされた税率のことです。
本来「暫定=一時的」なはずですが、実際には何十年にもわたって延長されてきたため、実質的には恒久的な税率のように扱われています。
ガソリンにかかる税金の内訳
私たちがガソリンスタンドで支払っているガソリン代には、以下のような税金が含まれています:
税の種類 | 税額(リッターあたり) | 備考 |
---|---|---|
揮発油税(本則) | 28.7円 | 国の税金 |
地方揮発油税 | 5.2円 | 地方自治体の財源 |
暫定税率(上乗せ分) | 25.1円 | もとは財源不足への“暫定措置” |
消費税 | 10% | 本体価格+税に対して課税 |
この「暫定税率」分が廃止されると、ガソリン価格がリッターあたり最大で25円程度安くなる可能性があると言われています。
暫定税率が廃止されたら、ガソリンはどれくらい安くなる?
先ほどの表にもあるように、暫定税率としてガソリンには25.1円/Lが上乗せされています。
これがもし廃止された場合、単純計算で1リットルあたりの価格が25円程度安くなることになります。
実際の価格変化シミュレーション
たとえば、現在のガソリン価格が170円/Lの場合、以下のようになります:
- 暫定税率あり:170円
- 暫定税率なし:145円前後
軽自動車で満タン30Lなら約750円、シエンタのような普通車で40L入れれば約1,000円の節約につながります。
家族でよく車を使う方や、通勤にクルマが欠かせない地方の方にとっては、大きなインパクトと言えるでしょう。

家計や物流にはどんなメリットがある?
ガソリン価格が下がることは、単に“車に乗る人”だけでなく、私たちの暮らし全体に大きな影響を与えます。
家計への直接的なメリット
月に1〜2回給油している家庭なら、年間で数千円〜1万円以上の節約になる可能性も。特に、送り迎えや買い物などで毎日クルマを使う方にとっては、かなりの負担軽減となります。
物流業界への効果=物価の安定化
軽油にも暫定税率が上乗せされているため、トラック輸送のコストも高止まりしています。もし廃止されれば、
- 物流会社の燃料費が軽減
- 配送料や運賃への反映
- 結果として消費者向け商品の価格が下がる
といった好循環が期待できます。
地方生活への恩恵は特に大きい
公共交通の選択肢が少なく、車移動が前提の地方にとって、ガソリン価格の低下は日々の生活費に直結する“安心材料”です。
税収が減ることで何が起きる?財源問題と制度見直しのリスク
暫定税率が廃止されれば、私たちの生活にはメリットがある一方で、国や自治体にとっては深刻な問題も生じます。
税収が激減する
ガソリンや軽油にかかる暫定税率は、国と地方を合わせて年間1〜2兆円規模の収入源となっています。
この税収は、主に以下の用途に使われています:
- 道路の新設・補修・維持管理
- 橋梁・トンネルの老朽化対策
- 地方への交付金や財政調整
廃止によってこれらの財源が不足すると、インフラ整備の遅れや地域格差の拡大につながる可能性もあります。
新たな課税方法が検討される可能性も
暫定税率がなくなる一方で、税収を維持するために以下のような“代替課税”が導入される懸念もあります:
- 走行距離課税:実際の走行距離に応じて課税
- 環境税・CO2課税:排出量に応じて課税
- EVへの新たな課税:ガソリン税収の減少を補うため
つまり、「ガソリンは安くなったけど、別の形で取られるようになった」という未来も、あり得ない話ではありません。
火力発電や電気代には影響あるの?
「ガソリンが安くなるなら、電気代も下がるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし結論から言うと、暫定税率の廃止が火力発電の燃料コストに直接影響することはほぼありません。
火力発電の燃料は“別の課税体系”
火力発電所が使用する燃料は、ガソリンや軽油ではなく以下のようなものです:
- 石炭
- LNG(液化天然ガス)
- 重油・原油
これらには「石油石炭税」など別の税金が課されており、暫定税率の対象にはなっていません。
物流面ではわずかに影響があるかも
ただし、燃料の輸送やメンテナンス業務で使用されるトラックなどは軽油を使っており、その税負担が軽減されれば、発電コストの一部に間接的な影響が出る可能性はあります。
とはいえ、電力料金全体への影響はごくわずかと見られており、「電気代が安くなる」というほどの変化は見込めないのが現実です。
価格が下がれば税収が増える可能性も?
「ガソリン価格が安くなれば、みんなもっと使って結果的に税収も上がるのでは?」という疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
たしかに理論的には、ガソリンの価格が下がることでドライブや遠出が増え、消費量が一時的に増加することが考えられます。これにより、揮発油税(本則分 28.7円/L)などのベースとなる税収が増える可能性はあります。
しかし現実には、以下のような要因で「消費量の増加=税収増」とは単純にならない面もあります:
- 近年は車の燃費性能が大きく向上しており、同じ距離でも消費されるガソリン量は年々減少している
- 都市部ではカーシェアや公共交通機関の利用が定着しており、価格が安くなっても車に乗る頻度は変わらない人も多い
- 若者を中心とした「車離れ」の影響で、ガソリンそのものの需要が構造的に減少している
つまり、短期的には税収が増える可能性はあっても、長期的にはガソリン税に依存する財源構造は持続しにくいという見方が一般的です。
今後どうなる?EV普及と税制のゆくえ
近年、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及が進み、ガソリンの消費量は減少傾向にあります。
これにより、ガソリン税や暫定税率による税収も徐々に減っていくことが予想され、政府としても税制そのものの見直しを迫られています。
EVはガソリン税を払っていない
EVはガソリンを使わないため、当然ガソリン税も課されていません。その結果、「EVばかりが得をして、税収が減るのは不公平では?」という議論も出始めています。
将来的にあり得る制度の例
- EVへの課税導入:道路使用料やバッテリー税のような新課税
- 走行距離課税:車種に関係なく距離に応じて課税
- CO2排出課税:環境負荷に応じた新たな課税方式
つまり、暫定税率が廃止されれば終わりというわけではなく、次の「課税のあり方」がすでに議論の対象になっているということです。
シエンタのようなハイブリッド車に乗っている方も、今後の制度改正がどのような形になるかは注目しておく必要があります。
そもそも「暫定」という名前の通り、本来は一時的な措置だったはず。それが何十年も継続して、いつの間にか“前提”になっていること自体が疑問ですよね。
本来であれば、暫定税収がなくても持続可能な財政運営を考えるべきなのでは?──そう感じるのは、決して少数派ではないはずです。
まとめ:ドライバーにとってはチャンス?でも一筋縄ではいかない
暫定税率が廃止されれば、ガソリン価格はリッターあたり約25円も下がる可能性があり、車を日常的に使うドライバーにとっては大きなメリットです。
特にシエンタのようなファミリーカーを使っている方、地方で車が生活の足となっている方にとっては、家計に直結する朗報になるでしょう。
しかしその裏で、税収の減少によるインフラ整備の停滞や、代替財源として新たな課税制度が導入される可能性もあります。
「安くなる=ハッピーエンド」とは限らず、長い目で見れば、税制の再構築が始まる第一歩なのかもしれません。
これからクルマを選ぶ方や、EVへの買い替えを検討している方にとっても、燃料や税制度の行方は見逃せないポイントになっていきそうです。

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